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Q-pot.×ギャレット ポップコーン ショップス(R)共同ドネーションプロジェクト
Q-pot.デザイナー・ワカマツ タダアキ氏×国連UNHCR協会 鈴木夕子氏スペシャル対談
2017.09.12
Q-pot.×ギャレット ポップコーン ショップス(R)共同ドネーションプロジェクトを記念して
Q-pot.デザイナー・ワカマツ タダアキと国連UNHCR協会の広報担当・鈴木夕子さんの対談が実現!
今回のプロジェクトである「グローバル・シェルターキャンペーン」について、また「難民問題」について、お話いただきました。
質問(以下Q):まずは、今回のコラボ缶の売上げの一部は国連UNHCR協会を通じてUNHCRが実施している、
グローバル・シェルターキャンペーンに役立てられる。とのことですが…
はじめて見られる方に、「UNHCR」「国連UNHCR協会」とはどのようなものかを簡単に教えて頂けますでしょうか?
鈴木夕子(以下S):UNHCRという国連機関の団体がありまして、それは難民を保護する目的で創設された組織です。
第2次世界大戦後にたくさんの難民が生まれて、彼らを支援するため作られた機関でした。当初は3年間限定で緊急対応として創られましたが、世界各地で紛争や迫害で家を追われる難民が増え続けたため、長期的な対応が必要ということで恒久機関となりました。
現在UNHCRは本部がスイス・ジュネーブにあり、世界約125カ国で活動をしております。そして、日本にもUNHCR駐日事務所があります。
国連UNHCR協会とは何かと言いますと、UNHCRの日本における公式支援窓口を務めるナショナルパートナーという位置づけの組織になります。
毎年6月20日の「世界難民の日」に上がってきたレポートによると、残念なことに去年より更に家を追われた方の数が増えて、
2016年末時点で6560万人と過去最悪規模となりました。
家を追われた方の数が右肩上がりに増えているのに、各国政府からの拠出金は右肩上がりに上がっていかないですよね?
そのため、政府からの任意の拠出金だけでは増え続ける故郷を追われてくる人を支援出来ないということで、民間の力を結集しようということになりました。日本だと2000年に特定非営利活動法人として国連UNHCR協会が設立されました。国連UNHCR協会は民間への広報・啓発および募金活動を担っています。
私たちのミッションは「一人でも多くの難民・国内避難民を救うために民間の皆さまからのご支援を最大限に募る」ことです。
民間の場合は「毎月倶楽部」といって、毎月一定の額を募金者の方から頂いているという募金の仕方があります。
民間の方々にどれだけUNHCRの活動を知ってもらって、支援して頂けるか…がミッションとなります。
まだまだUNHCRというアルファベット5文字が難しいので、まずはその認知度を高めることからかと思っております。
Q:具体的に難民支援というと何をするのでしょうか?
S:例えば、難民支援には3段階ございます。
まずは、爆撃から逃れて命を生きながらえるための緊急支援。その次は職業訓練などの中長期的支援。
実は、難民キャンプで過ごしている方が故郷に帰れるまでの年月というのは平均で17年と言われています。つまり、赤ちゃんが大人になるまでですよね。そのため、その間の子供たちへの教育、自立を支援する職業訓練などの中長期的な支援も必要となります。
最後に、晴れて故郷に帰るとか、逃れた国に定住するとか、第3国(故郷とも逃れた国ともは違う場所)などに受け入れてもらうまで支援が必要となってきますので、その3つを主に行っております。
Q:そもそも難民ってどういうことでしょうか?
S:一言で言うのは難しいのですが、日本だと「ネット難民」「昼食難民」など、必ずネガティブなイメージで使われる言葉ですよね。
本来は人種、宗教、国籍、政治的意見または特定の社会集団に属するなどの理由で迫害され、そこに留まっていたら命が危ないために自分の国を出なければいけなかった人達を難民と定義しております。
第8代国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子さんの時代に、「国内避難民」もUNHCRの支援対象に含められるようになりました。
では国内避難民とは何か?というと、同じように迫害を受けていて命の危険があるが、様々な理由により、その国の中で避難している人。国境を越えたか越えないかだけの違いなんです。今そこに危険にさらされている命があるのに、国境を越えていないからといった単純な線引きだけで支援しないということは出来ないということで、「国内避難民」も対象になりました。
ワカマツ(以下W):以前伺った、「難民という人種がいるわけではない」というお話がとても印象的でした。
ひとくくりに語られることが多いので、難民という人たちがいるという固定概念があるけど、実際はそうではない。
「まさか自分たちが難民になると思わなかった」という声がほとんどであると…。
今まで普通に暮らしていた人たちが次の日には難民になったというのが現実で。
明日は自分たちもそうなっているかもと思うと、他人事じゃないと感じて“何かしなくては”と思いました。身近に感じることが大事ですよね。
S:日本では難民という言葉のイメージがあまりよくなかったのですが、明るい兆しもあります。
リオオリンピックの時に「難民選手団」というものが結成されて、あれほど彼らがこんなに厳しい状況の中でも希望をもって努力するという姿が世界中の人に感動を与えてくれました。そういう事がきっかけで、徐々に難民とは苦しい状況にも負けずに希望を失わないで、今いる場所でたくましく生き抜いている人々だという認識が広がっているように思います。
W:嘆くだけでは現実を変える事はできないと、自分の未来に立ち向かう強さに胸が熱くなりましたね。
S:こういった事例からも分かるように、難民の方々は今もっている物への感謝、それを糧に頑張る気持ちがとても強い方々なのです。
また、難民になってしまった方々は“かわいそう”だと同情してほしい訳じゃない。
昨日まで普通に働いていた自分たちの生活を取り戻したいだけなんです。
Q:では、今回のコラボについて、初めて取り組みを知る人もいると思いますので、
何をきかっけに支援をすることになったのか?というのを教えて頂けますか?
W:まず、僕の中でドネーションというものって、難しくて、固くて、そういう印象が強かったんです。
だから、どうにかデザインの力でやわらかく、とけるようなイメージで、ハードルを下げたいなという思いになりました。
そういう意味合いも込めて「とろ~りリボン・プロジェクト」を立ち上げました。
その第1弾の企画で「ユニクロ」さんとコラボをし、UTのTシャツなどをデザインしました。
その時に売上げの一部をUNHCRさんを通してアフリカの給水施設に役立てて頂いたことが、取り組みのきっかけですかね。
元々「デザイン」と「アフリカの水」ってまったく関係がないけど、そこを何かデザインの力で繋げることが出来ないかなって考えました。
日本で暮らしている若い子たちにとっては水が無い状態に共感と言われても、遠い世界のことのように感じてしまうと思うんです。
だから、いつも心がけているのは、例えばデザインに合わせてプロジェクト(寄付先)を選ぶということ。
例えば水の支援だったら、メルトするようなデザインにしたり。
今回のコラボレーションでは、グローバル・シェルターキャンペーンがUNHCRの支援プログラムひとつとしてあったので、
ポップコーンのパッケージにデザインとして、うまく融合させて施せないかなということから、館=シェルターを作る感覚でデザインしました。
元々はハロウィンのデザインだけれど、オバケちゃんが住む館をケーキで作っていくというストーリーを考えていきました。
Q:分かりやすくて、可愛くて、若い子たちは「わ~かわいい!」と手にとって、
そこでこのデザインに意味があることに気がつくと、スムーズに支援に向かっていけますよね。
W:「かわいい」というきっかけって、人を動かすきっかけになる。そういう意味で今まで関心を持って来なかった世代の子に気づいてもらえれば、デザインという役割は、すごくいい方法なのかなと思っています。
Q-pot.はブランドのコンセプトとして「世界中に笑顔の連鎖を拡げたい」という目標があるので、この取り組みは一番直接的で、重要な使命だと思っています。
Q:グローバル・シェルターキャンペーンとは何ですか?
S:世界中の家を追われた方にシェルターを届けようというキャンペーンで、「Nobody left outside~誰1人取り残さない」というスローガンを掲げています。シェルターキャンペーンは、テントとか、仮設住居を与えるというよりも広い意味があります。
難民キャンプの外で暮らしている人も多いため、その人たちには家賃補助をして、家族が避難所で一緒にシェルター(家)に住めるようにするグローバルなキャンペーンです。家があることによって、鍵が付いている家であれば、女性は性暴力から逃れることが出来ますし、家族一緒にプライバシーを保てる。シェルターは物理的な役割ではなく、心の安定にとっても必要であり、欠かせないもの。
単なる物資だけの支援ではないはないということで、このグローバル・シェルターキャンペーンを展開しています。
家やプライバシーを得る前は、水など、何とか命を生きながらえるための物資を必要としていますが、逃げてきた場所でようやくシェルターを得ることで、そこからどうしようかと、ようやく生きていくための次の段階を考えることが出来ます。故郷に戻ったり別の国に定住するまでは、すごく長い年月がかかりますが、まずは自分が落ち着ける所があって、「難民キャンプの学校に通おうか」など、一歩踏み出すきっかけを作ることが大事なのです。
家があることで、初めて未来を考えることが出来る。
家を得ることで、難民ではなくなるための原点が出来る。
また、難民の51%は子供と言われています。親が殺されてしまったり、親や兄妹とはぐれてしまい、1人で逃げてくる子もいる。
子供は、いつか故郷(国)に帰ったら国を作る人なので、子供たちの教育も大事だと言われています。
W:難民の51%は子供と聞いて、自分の子供のことを思った時に、本当にいたたまれない気持ちになりました。一番身近に感じられる家族、その安心・安全を考えることが、ドネーションに繋がっていく近道なのかなと思いました。「家=家族」と、未来を思える場所があれば一歩進める。
Q:51%の子供たち、もしくは難民の方々が望んでいるものは何なのでしょうか?
S:故郷を追われた方々は、「未来を考える」そんな日本ではあたり前のことが出来ません。
一日中何もすることがないのが一番辛いので、未来に向けての中長期的な職業訓練や、子供たちが学校にいける事が望まれていると思います。
「いつか国に帰った時」「第3国に定在した時」、その時のためにと、希望をもって未来を作っていくことが必要だと感じています。
ですので、今回のコラボ缶のデザインが難民のシェルターに直結していることが本当にすごいと思います。
家族のためにコラボ缶を買うことで、それがどこかの家族を幸せにしているというストーリーが、本当に素敵なことだと感動しました。
W:はじめは「かわいい」というきっかけで良いと思うんです。
ぼくも知らなかったし、シェルタープロジェクトって何だろう?と思っていました。
きっかけがないと「難民問題」に触れるような環境に日本はないと思うので、この缶をきっかけに知ることが出来る環境づくりや、
そこから更に興味をもった人がぐっと入ってこれる場所を作っていくことが大事なのかなと。
缶と一緒に、屋根を作れるキットをお渡しするのですが、そのフライヤーには難民支援についても書かれています。
ポップコーンを食べながら、屋根を作ることで、家族と「難民問題」について話すきっかけを作ってみてください。
Q:ここから先、難民は増えるんでしょうか?
S:2016年末時点で家を追われた人の数は6560万人になっており、これを人口に見立てるとイギリスを上回り、
世界で21番目の国の規模となります。3秒に1人が新たに避難を余儀なくされている状況。
瞬きしている間にも1人の人が家を追われていることになります。
UNHCRが設立された時は3年限定だったのに、終わらないからまったく先が見えない状況です。
なので、UNHCR自体が無くなること自体が目標です。
Q:日本にいて力になれることは何でしょうか?
S: まずはこの缶を購入して頂くことですかね。その他にはホームページを見て寄付して頂けると助かります。
難民のことを知っていただき、何かしらのアクションにつなげていただければうれしいです。
もちろん、この缶を購入することも支援につながります。
6560万人の家をが追われた人がいるという数字で見てしまいがちですが、1人1人ドラマがあるので、それを見て頂きたいです。
そして、それが分かるのが今年の秋に行われる難民映画祭です。
こんな人がいることを知ってもらう。そして皆に伝えてもらうことが大事。
私たちだけでやることには限界があるので、ぜひ皆さんの熱や力で難民問題に関心をもって、皆さんと力を合わせて世界を変えていけたらと願っています。
W:知って、広めて、支援する!
具体的に知って頂いて、なにか1つでも行動に繋がることが大事ですね。
今後も楽しく支援できることを提案できるように頑張っていきますので、ぜひ参加してもらえたら嬉しいです。
まずは、美味しいポップコーンを通じて、笑顔を拡げていきましょう!
今回の「Q-pot.×ギャレット ポップコーン ショップス(R)」コラボにまつわる、素敵なお話ありがとうございました。
最後に…鈴木さんがUNHCRのロゴの意味を教えてくださいました!
S:このマークは、人の手が人の上に屋根のようになって守っているんです。
人を守るのは人にしか出来ないと考えています。
Q:また、UNHCRの意味はこちら!
UNHCR:United Nations High Commissioner for Refugees:国連難民高等弁務官事務所
S:ぜひ覚えて頂けたら嬉しいです。
以上、Q-pot.デザイナー・ワカマツ タダアキ氏と国連UNHCR協会 広報担当鈴木夕子氏とのスペシャル対談でした。
ありがとうございました。