COLLABORATION , DONATION , INTERVIEW , NEW ITEM
ワカマツ タダアキ×トヲハジムが語る「あの花の子」誕生のストーリー
「かわいい」や「美味しい」が、そのまま誰かの笑顔に繋がる!/キューポット
2022.06.20
ノンジャンルな日本画の手法を駆使する孤高の日本画家・十一(トヲハジム)」と
Q-pot.のコラボレーションにより誕生した「あの花の子」。
Q-pot.デザイナー・ワカマツ タダアキと日本画家・トヲハジムが語る
コラボレーション「あの花の子」誕生のストーリー。
難民の方々への思いとともに、ありのままに語っていただきました。
Q、まずはお二人の出会いについてお聞かせください。
Q-pot.デザイナー・ワカマツ タダアキ(以下:ワカマツ)
共通の友人を通じて10年以上前に知り合いました。ハジムさんの作品に魅了され、すぐに意気投合して。その時に僕が飼っていたティナ(ラブラドール)の絵を描いてほしいとお願いして、その日のうちに家に来て取材してもらったんです。家族とも仲良くなり、そこから家族ぐるみの付き合いが始まりました。ティナの絵が出来上がったちょうどその頃、ティナが亡くなってしまったんですが、ティナの魂がその絵に残っていて・・・。今でもティナが生き続けているような存在の絵になったから、あの時にハジムさんにお願いしてよかったなと思っています。完成した絵の中にいるティナは、僕を見ているんだなって。
トヲさんが描いたワカマツさんの愛犬ティナ
日本画家・トヲハジム(以下:トヲ)
そうでしたね。資料用にティナの写真を撮りに行ったんですよ。「上手く撮られへんな~。」って僕が言っていたら、タダアキさんや娘さんが「ティナ、こっちだよ。」と言って、ティナがタダアキさんを見上げた時の写真なんですよ。だから家族を見つめている姿なんですよね。出会ったその日の夜に絵を描いてほしいとお願いされて。ティナちゃんがもう歳だから、万が一何かあるかもしれないと、だから面影を残したいんだと聞いて。タダアキさんが最初に僕に興味を持ってくれて描いてほしいと言ってくれたからこそ、ご縁が始まって。タダアキさんがもし僕に興味を持ってくれなかったら、ここまでお付き合いが続いていなかったと思いますし、何よりそれが1番ありがたかったです。
Q、出会いはティナちゃんだったのですね。それではお互いにアーティストとしては、どう見ていたのですか?
ワカマツ:
ハジムさんの画が日本でも世界でも評価されていたのは知ってはいたので、いつか何かご一緒できればいいなとはずっと思っていました。僕はデザインを中心にやってきているから、デザインとは表現の仕方が全く違う、十一(トヲハジム)の作家としての姿に憧れていました。
トヲ:
出会う前からQ-pot.のことは知っていて、タダアキさんが創るものは、的が絞られているというか、わかりやすいし、おもしろいし、可愛らしいし、そこからぶれていないところが昔から好きでした。時代がタダアキさんのデザインに追いついた、時代がタダアキさんのデザインを創ったみたいな感じがしていましたね。毎シーズン新しい作品を遠くから見たり、近くから見たりしていて、僕も影響されるし、おそらくタダアキさんも、もしかしたら僕の創る作品に何かしら影響をされていたんじゃないかなとも思っていました。そういう意味で、お互いに芸術家として、影響をしあっているような感じはします。
Q、異なるジャンルでもお互いに影響・刺激を受けるような関係性だったのですね。そんなお二人が今回コラボレーションを行うことになったきっかけは何だったのですか?
トヲ:
昨年の8月の終わりごろに東京に来る機会があってタダアキさんや若菜さん(Q-pot.ディレクター)たちとお茶をしたんです。その時にちょうど、「昨日、国連UNHCR協会さんから連絡があって、今アフガニスタンが大変な状況だと伺った。」ってお話をされていたんですね。実は僕、その時オンタイムでBBCのNEWSとかよく見ていたんですよ。
アフガニスタンからアメリカ軍の飛行機が出ていくときに、アフガニスタンの人たちが、そこから逃れるためにアメリカの飛行機に乗ろうとしていて、落とされても乗ろうとしているNEWSが流れていて、その悲惨な空気感とか衝撃が僕の中に残っていたんですよ。そんなタイミングだったので、僕にもできることがあるなら何かサポートしたいと思ったんですよね。
ワカマツ:
ハジムさんの作品に「号泣少女」という、女の子が泣いているシリーズがあるんですけど、僕そのシリーズが大好きなんです。その「号泣少女」が、どこかで泣いている難民の方々のイメージと重なって、何かそのような作品を創っていただけないか?と頼みました。
Q、そうして誕生したのが「あの花の子」なんですね。
今回のコラボレーションのためにトヲさんが描き起こした「あの花の子」たち。
トヲ:
はい。僕の画風って背景が黒だったり、グレーだったりするものが多いんですが、それは、表面的なものではなく、奥からじんわり伝わってくるあたたかさのような、安らぎとか、穏やかさとかを伝えたいという思いが僕の中にあるからなんです。1番奥にあるあたたかいものを光で表現しています。「あの花の子」もそうして描きました。
Q、「あの花の子」の作品には「詩」も存在していますよね。絵や詩はどのような思いで書かれたのですか?
トヲ:
僕、描きたい絵のイメージを先に文章に書いたり、反対に絵を描いた後にその絵の為の文章を書くという行為をよくやるんですよ。今回は想像をしたときに、スラスラとでてきて、これ以上でもこれ以下でもないと思ってパーっと書きましたね。文章のスペースも大切にしています。どこかで誰かが泣いているけど、へたしたら誰も気づかない、みんな気づいてよ!っていう。僕自身が気づいたら、他の人に伝えることができるけど、他の人に「あの子が泣いているよ」って言うだけじゃダメで。僕自身も気づかなあかん。他の人たちにも気づいてほしいって思いがあって、文章にしたらあのような文章になりました。
まず自分が気づくことが大事なんじゃないかって。人に「あーしなさい、こーしなさい。」っていうよりも、まず自分が気づいて、それが輪になって拡がっていく・・・。そうしていけば、いつか遠くの誰かに繋がる。遠くで悲しくて泣いている誰かが、少しでも泣かなくていいようにしたい。彼らを無茶苦茶Happyにできるとは思ってないし、世の中を激変することも僕にはできないけど、その人たちのために少しでも何かできたらという思いがあります。
Q、ワカマツさんは「あの花の子」の詩を初めて見たとき、どのように感じましたか?
ワカマツ:
絵を初めて見たときのインスピレーションと同じというか。絵を見た段階で、僕の頭の中には同じような世界観が見えていたから、その裏付けとして、ハジムさんからその言葉が出てきたという感じでした。文章は文章で素晴らしいけど、その世界観を絵でぱっと表現できるのが、作家として本当に素晴らしいなと思って。絵だけで物語を創れるのが本物の作家だと思うから、絵で見た世界観と詩の世界観は、やはりハジムさんの世界観だから、どう表現をしても同じ作品になるんだなって。作家として本物なんだなって感じました。受ける印象が変わらないから、そこがやっぱり凄い。
Q、そんな「あの花の子」を可愛らしいキャラクター風のアクセサリーに変身させたワカマツさんですが、あのキャラクターについて教えてください。
「あの花の子」をゆるかわなマカロンアクセサリーに仕立てたワカマツさん。
ワカマツ:
ハジムさんのように「作家」って、ひとつの作品を創るのが仕事で、それが作家活動ですよね。僕のように「デザイナー」は、そのものをデザイン化して、多くの人に買ってもらったり、使ってもらうことで、よりよい世の中を創ることが仕事だと思っているから、その作業を集約したという感じです。作品をアイコン化してデザインし、いろんな人に手に取りやすくするのが僕の役割だから、最初からハジムさんには「あの花の子」を簡略化したような可愛らしい絵を同時にお願いしていたんです。誰にでもできることを叶えやすくするのが、デザインの力だと思います。どこかで泣いているあの子と、今日本にいる女の子をつなげる橋渡しのような役割、それが僕の仕事かな。
トヲ:
本当にそうですよね。日本の女の子が難民の方々の手を取り繋がっていて、その橋になっているのがQ-pot.ですよね。
ワカマツ:
Q-pot.の目的って全てそこなんです。日本にいて自分にできることって何?って考えた時に、かわいいと思って手にとったものが、たまたまドネーションになっていてもいいじゃないかってところから始まっているし、それが困っている人の役に立っているのであれば、それがデザインの力ですよね。だからドネーションの最大の目標は、売上の一部がどこかで泣いている難民の方々に還元されること。それが今回のコラボレーションの意義だと思います。
Q、今回はQ-pot CAFE.のマカロンも支援に繋がるとのことですが、ハジムさんはどう思われましたか?
マカロンアクセサリーがQ-pot CAFE.の本物のマカロンに。
トヲ:
Q-pot CAFE.のマカロンになるなんて、純粋に嬉しいし、楽しい。タダアキさんの発想やQ-pot.を通して、僕の作品が食べられるってことじゃないですか。食べた人の栄養になり、血となり、肉になり、それは今まで僕の活動範囲の中にはなかった流れだから。
日本の女の子が食べてシアワセになって・・・。日本の子だってみんな幸せかどうかはわかならないし、決して難民の子だけが泣いているわけでもないし、辛い思いで泣いている子も日本にもたくさんいると思うと、これを食べてもらって、心が少しでも元気になってくれたらって思います。
ワカマツ:
Q-pot.のブランドコンセプトは、「笑顔の連鎖を世界に拡げたい」ってことだから、マカロンもそのためのツールであって。甘いもので笑顔になって、マカロンを買ったお金が、世界の誰かの笑顔に繋がるっていうのが、まさにコンセプト通りなんです。
トヲ:
お菓子を買って人にあげるという行為も、輪を拡げていく、シアワセを拡げていくってことですもんね。
Q、最後に、日本にいながら私たち一人一人ができることは何だと思いますか?今回のプロジェクトに興味を持ってくれている皆様へメッセージとともにお願いします。
トヲ:
僕もタダアキさんも今まできっと努力して、頑張って、運よく好きなことで稼げるようになったじゃないですか。それはものすごく運がいいことだと思っていて、僕はその能力を自分の為だけに使うのは、面白くないし、もったいないし、申し訳ないって思うんです。
与えられた能力も、きっかけや環境も、フルに使っていきたい。いつ反対の立場になってもおかしくない世の中じゃないですか。プラスとマイナスがあって、どっちも共存している。たまたま、今はいい環境にいるだけで、ころっと世界の情勢が変わったら、間反対になるわけじゃないですか?まわりまわって、結局は自分の為にしているということになるのかもしれない。今回プロジェクトに携わり、難民のことについて勉強をさせてもらいましたが、勉強をする前と後では「想像力」、そこが変わったかな。少しでも自分が難民になった時を想像して、誰かの支援のおかげで生きることができたことを想像すると、すごくありがたいって思うはずだなって。
ワカマツ:
難民って難しい民って書きますよね。
「ある日突然、自分では解決できない難しい状況に強いられてしまった人たち」と捉えていて、だからこそ支援をしたい。国連UNHCR協会の「誰ひとり置き去りにしない」ってとっても重要だと思うんです。元々、お医者さんや学者さんもいれば、障害のある方もいる、日本の社会と全く同じ状況で、急に難民になっている方たちがいるんです。今の日本に起きたらと想像力を働かせて、できることを自分で見つけることは本当に難しくて、Q-pot.としても考えるのがとても難しいことではあるんですけど。ただ、もし自分のまわりにQ-pot.のように支援をおこなっている人たちがいるなら、できればのっかってほしい。難民はかわいそうな人ってことでなく、自分たちも明日、難しい状況に急に置かれてしまうこともあるかもしれないですから。
トヲ:
本当にそうですよね。画家になりたくて頑張って夢を叶えられたってことが、僕は既にめちゃめちゃ環境がいいんだなと。一方彼らは、自分のせいでもなんでもないのに、夢もなくなるし、命もなくなるじゃないですか、夢どころじゃない。それを考えると、与えられた環境とか、画家として生活ができていることはありがたいことだと思うし、自分にも何かできるんじゃないかと。Q-pot.さんの活動のおかげで気づけたし、自分にとっても転機でした。ありがとうございます。
ワカマツ:
日本にいて遠い場所に思いを馳せることは難しいことだけど、とにかく感動したり、美味しいものを食べて笑顔になれるのは、幸せな環境だからできることだと感じてほしい。そんなあたりまえな環境を全世界の方が望んでいるわけで、その幸せな気持ちを今度は悲しんでいる人に返していきたい。そのためのコラボレーションだから、ぜひ参加してほしいです。かわいいと思って手に取ったら、それがそのままドネーションになるし、マカロンを食べたら、それがそのまま誰かの笑顔に繋がっていくから、気を張らずに飛び込んでくれたらとても嬉しいです。
Q、ありがとうございました!
十一(トヲハジム)/ 日本画家
ノンジャンルな日本画の手法を駆使する孤高の画家。
国内外での個展、グループ展、その他イベント等、活動の幅は広く
アート界の枠を超え様々な業界やアーティストから注目を集めている。
Instagram / http://toohajimu.com/
ワカマツ タダアキ / デザイナー
2002年アクセサリーブランド【Q-pot.】を立上げる。
その後、広告・映像プロデュース、ファッションブランドやアーティスト 、映画や企業とのコラボレーション、
パリでの大規模なインスタレーション等、アクセサリーの枠を超えた多岐にわたる活動を展開。
2012年 Q-pot.のポジティブアクセサリーが本物のスウィーツとして食べられるカフェ【Q-pot CAFE.】を表参道にオープン。
“スウィーツ文化”をつくり出したパイオニアとして、個性溢れる<ポジティブアクセサリー>を世界中で展開し
“笑顔の連鎖”を拡げ続けている。